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24/10/16

DPP-4阻害薬はエビデンスがない?

Q.心血管抑制効果はない?

 

 DPP-4阻害薬の心血管性への安全性を評価する大規模臨床試験として、下記4試験が有名です。

 

  TECOS試験 シタグリプチン(ジャヌビア、グラクティブ) 1)

  EXAMINE試験 アログリプチン(ネシーナ) 2)

  CARMELINA試験 リナグリプチン(トラゼンタ) 3) 

  SAVOR-TIMI試験 サキサグリプチン(オングリザ) 4

 

 いずれも、プラセボと比較して、2型糖尿病患者の心血管イベントを抑制しない結果でした。これらの結果から、2024年に米国内科学会(ACP)の糖尿病治療ガイドラインで「DPP-4阻害薬の追加を推奨しない(強い推奨)」と記載(5)されて話題になりましたが、あくまで心血管・総死亡抑制目的の話であり、その他の糖尿病合併症抑制目的に効果がないということではありません

 

 

 

Q.DPP-4阻害薬が効きやすいのはどんな人?

 

 RCTのメタ解析では、DPP-4阻害薬の血糖低下効果は、非アジア人よりアジア人で高く、その要因として、BMIが低いほど効果が高いことが報告されています(6)。

 

 


 

 DIVERSITY-CVR試験(9)は、メトホルミン単独もしくは食事療法のみの日本人早期2型糖尿病患者340人に対して、ダパグリフロジン(SGLT2阻害薬) vs シタグリプチン(DPP-4阻害薬)を24週間した貴重なRCTです。24週間後のTIR>70%達成率は、BMI 25未満群ではDPP-4阻害薬で有意に高く(91.9% vs 69.4%)、BMI 30以上ではSGLT2阻害薬が有意に高い(85.7% vs 52.9%)結果であり、HbA1c<7%達成率も同様の傾向でした。

 

 

 短期間の血糖をアウトカムにした場合は、非肥満者ではDPP-4阻害薬がより有効である可能性が示唆されました。メトホルミンやSGLT2阻害薬より優先される根拠はありませんが、日本人にとっては今後も選択肢に挙がる薬剤の一つだと思います。

 

  

 

1)   Green JB, N Engl J Med. 2015 Jul 16;373(3):232-42.

2)   White WB, N Engl J Med. 2013 Oct 3;369(14):1327-35.

3)   Rosenstock J, JAMA. 2019 Jan 1;321(1):69-79.

4)   Scirica BM, N Engl J Med. 2013 Oct 3;369(14):1317-26.

5)   Qaseem A, Ann Intern Med. 2024 May;177(5):658-666.

6)   Kim YG, Diabetologia. 2013 Apr;56(4):696-708.

7)   Takuma K, Diabetes Obes Metab. 2023 Aug;25(8):2131-2141.





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Dr.U 糖尿病メモ 
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