・アメリカ糖尿病学会(ADA) Standards of Care in Diabetes-2024
・本文記載の改定ポイント から推奨A/Bを中心に臨床的に重要なポイントを抜粋しています。
【2章 診断と分類】
・成人で1型糖尿病が疑われる場合のフローチャートを新規掲載 (Fig.2.1)
・第二世代抗精神病薬使用時は、ベースライン時、投薬開始後12~16週間後に糖尿病スクリーニングを行う(2.15b/B)
【3章 予防】
・1型糖尿病発症を遅らせるテプリズマブは8歳以上、専門施設で行うべき (3.15/B)
【4章 併存疾患】
・「骨の健康」が大幅改訂。日常診療の一環として骨折リスクを評価すべき(4.9/A)
・65歳以上orハイリスク若年はDXA骨密度2-3年毎にモニター(4.10/A)
・骨折リスク高い患者では骨に安全な血糖降下薬を優先(4.11/A)
・転倒・骨折リスクを考慮した血糖管理目標を設定(4.12/C)
・カルシウム/ビタミンD摂取量が推奨摂取量を満たすように助言(4.13/B)
・Tスコア-2.0以下(YAM 80%以下) or脆弱性骨折既往者では、骨粗鬆症治療薬を考慮(4.14/B)
・糖尿病患者特有の骨折リスク因子(病歴10年以上、頻回低血糖、インスリン、TZD、SU、A1c>8%、神経障害、網膜症、腎症)を掲載(Table4.5)
【5章 生活習慣・行動】
・自己管理・教育に遠隔医療・デジタル機器介入を検討(5.5/B)
・身体活動、座位時間を評価し、身体活動を増やすよう勧める(5.31/B(2型),E(1型))、座位は30分ごとに中断するよう指導(C)
・低血糖恐怖のスクリーニングを推奨(5.40/B)
・全患者にうつ病のスクリーニングを年1回推奨(5.41/B)
・全患者に睡眠指導を推奨(5.51/A)
【6章 血糖目標と低血糖】
・個々の目標の範囲内で、有害性/負担が大きい場合は糖尿病治療薬増量を中止(6.8a/B)
・低血糖の有無を毎回の診察で確認する(6.11a/C)
・低血糖リスクの高い患者はCGMを使用する(6.11d/A)
・インスリン使用者は低血糖の予防・治療の教育を受ける(6.14/A)
・低血糖予防のための項目と推奨頻度を追加(Table6.7)。
【7章 テクノロジー】
・あらゆる糖尿病デバイス(スマートインスリンペン、SMBG、CGM、AI)が提供されるべき(7.1/A)
・1型糖尿病では診断時であっても早期にCGMを開始する(7.2/A)
・CSII、AIDは診断早期であっても患者・介護者のニーズや好みによっては有益である(7.8/C)
・CGM使用中の患者は入院中もCGM継続+POCTが望ましい(7.33/B)
【8章 肥満】
・肥満の評価にBMI以外(腹囲、ウエスト/ヒップ比、ウエスト/身長比など)を取り入れる(8.2a/E)
・肥満症の初期治療(生活習慣と栄養療法、薬物療法、減量手術など)を個別に行う(8.6/A)
・肥満糖尿病患者の薬物療法では、減量効果の高いGLP-1(セマグルチド)やGIP/GLP-1(チルゼパチド)が望ましい(8.17/A)
・減量目標を達成しなければ追加アプローチにより治療を強化する(8.18/A)
【9章 薬物療法】
・大部分の成人1型糖尿病では、ヒトインスリンよりインスリンアナログが望ましい(9.2/A)
・成人1型糖尿病では早期にCGMを開始する(9.3/B)
・AIDは全ての成人1型糖尿病で考慮されるべき(9.4/A)
・インスリン使用中全ての人に(吸入)グルカゴン処方されるべき(9.6/E)
・心不全合併2型糖尿病では、SGLT2i推奨(9.19/A)
・CKD合併2型糖尿病(eGFR 20-60or UACR>30)ではSGLT2i推奨(9.20/A)
・CKD合併2型糖尿病(eGFR<30)では、CVD抑制のためにGLP-1RAが望ましい(9.21/B)
・今回は薬物療法フローチャート図に変更はないようです(Fig.9.3)
・どのステージでも異化亢進がある場合はインスリンを使用(9.22/E)
・HCL(hybrid closed-loop) technologyから、AID(automated insulin delivery) systemsに用語統一(Fig.9.1)
【10章 心血管リスク管理】
・RASi、MRA、利尿薬治療開始後7-14日以内にCr、Kをモニターすべき(10.12/B)
・スタチン不耐の糖尿病患者においてベムペド酸がCVD抑制のために推奨(10.24/A)
・急性冠症候群、脳血管障害後のDPAT期間は、循環器/神経専門医により決定されるべき(10.35b/E)
・心不全スクリーニングを無症候期から推奨(BNP測定など) (10.39a/B)
・末梢動脈スクリーニングを推奨(50歳以上(A) or 糖尿病歴10年以上(B)でABI推奨(10.40)
・心不全合併2型糖尿病では、心不全悪化、心血管死抑制、症状、QOL改善のために、効果が証明されているSGLT2i推奨(10.42a/A)
・心不全ステージB(無症候期)ではRASi(10.45b/A)、SGLT2i(10.45c/A)推奨。
・2型糖尿病+腎臓病では、心不全リスクを減らすために、フィネレノン推奨(10.46d/A)
・心筋梗塞or心不全ステージCでは、非糖尿病患者でのガイドライン同様、ACEi/ARB、MRA、ARB/ネプリライシン阻害薬、β遮断薬、SGLT2阻害薬が推奨される(10.45e/A)
・ケトーシスを起こしやすい1型/2型糖尿病でSGLTi使用者は、教育、ケトン体測定ツールを提供されるべき(10.47/E)
【11章 腎】
・透析中糖尿病患者ではタンパク摂取量1.0-1.2g/kg/日を考慮(11.7/B)
・DKDにおける非薬物/薬物アプローチもADA2023/KDIGO2022から変更なさそうです(Fig.11.1)
【12章 網膜症、神経障害、足】
・糖尿病網膜症スクリーニングとして眼底写真の遠隔読影やAIは有用である(12.6/B)
【13章 高齢者】
・治療レジュメの簡略化は、低血糖とポリファーマシーのリスクを軽減する(13.16c/B)
・高齢者でも心血管・腎リスク高ければ、血糖値にかかわらず、心腎リスク軽減薬を含めるべき(13.17d/A)
【14章 小児】
・小児、食事の構成(タンパク質、脂肪)に応じたインスリン量要請の教育が必要(14.4/A)
・10歳以上の小児2型、メトホルミン(and/orインスリン)の次はGLP-1RA、エンパグリフロジンを考慮(14.68/A)
【15章 妊娠】
・1型糖尿病合併妊娠ではCGM推奨(15.10/A)
・メトホルミンはGDMの第1選択薬として使用されるべきではない(15.15/E)
【16章 入院】
・周術期におけるGLP-1RAの安全性や胃排出遅延への影響に関するデータはほとんどない
・心不全入院中の2型糖尿病では、急性疾患からの回復後であれば、入院中or退院時にSGLT2iを開始or継続することが推奨(16.11/A)
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