・SGLT2i阻害薬の心腎保護作用はGLP-1の併用で異なるか?
12RCT、2型糖尿病患者7.3万人のメタ解析では、プラセボに対するSGLT2阻害薬の心血管、心不全、CKD進行HRは、GLP-1使用者で0.81、0.76、0.65、GLP-1非使用者で0.89、0.78、0.67といずれも同等でした(1)
・SGLT2阻害薬は急性心筋梗塞に有効か?
急性心筋梗塞で入院した6522人に、入院後14日以内にエンパグリフロジン10mg vs プラセボを投与した介入試験では、心不全入院/総死亡リスクはHR 0.90(0.76~1.06)と抑制できなかったと報告されました(2)
・SGLT2阻害薬は高カリウム血症リスクを低下させるか?
米国レセプトデータ2型糖尿病250万人以上の後向き観察研究では、高K血症(≧5.5)発症リスクは、SGLT2阻害薬の使用で、DPP4iと比較して25%、GLP-1と比較して8%有意に低下していました。高K抑制効果はCKD、心不全あり、MRA使用者で有意に高い結果でした(3)
・SGLT2阻害薬は血清尿酸値を低下させるか?
SGLT2阻害薬のRCTで、SGLT2阻害薬は、血清尿酸値を0.6~1.0mg/dL低下させることが示されています(4)。さらに観察研究では、SGLT2阻害薬の使用は、痛風発作イベント30~40%低下と関連していました(5、6)。RCT 5報3.2万人のメタ解析では、血清尿酸値-1mg/dL低下毎に心血管イベントリスクが HR0.64 (0.46-0.88)と低下しており、SGLT2阻害薬による尿酸低下が心血管抑制に関与している可能性が示唆されています(7)が、詳細は不明です。
・eGFR低下してきたらSGLT2阻害薬は中止したほうがいいのか?
台湾の後向き研究では、eGFR<30でSGLT2阻害薬を中止した群よりも継続した群のほうが、心血管複合イベント35%減少、eGFR低下は42%減少していました(8)。さらにCKD Stage 5においても、SGLT2阻害薬使用者は心腎イベントリスクが低かったとする報告があります(9)が、まだエビデンスが不十分です。
・エンパグリフロジンとダパグリフロジン、どちらがいいのか?
今後もRCTで直接比較することは不可能だと思われますが、デンマーク全国規模のデータベースで、エンパグリフロジン36670例 vs ダパグリフロジン20606例を6年間追跡した観察研究では、心血管複合(心筋梗塞、脳梗塞、心不全、心血管死)は、リスク比 1.00(0.91~1.11)と同等であり、ASCVD、HFで層別してもかわらなかったと報告されています(10)
1) Lancet Diabetes Endocrinol. 2024 Aug;12(8):545-557.
2) N Engl J Med. 2024 Apr 25;390(16):1455-1466.
3) BMJ. 2024 Jun 26;385:e078483.
4) Eur Heart J. 2022 Sep 21;43(36):3435-3446.
5) JAMA Intern Med. 2024 Jun 1;184(6):650-660.
6) Ann Intern Med. 2023 Aug;176(8):1067-1080.
7) Diabetes Obes Metab. 2024 May;26(5):1980-1985.
8) Diabetologia. 2024 Aug 29.
9) Ann Intern Med. 2024 Jun;177(6):693-700.
10) Circulation. 2024 Aug 29.
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