EASD(欧州糖尿病学会) 2024 (9/11-14)で発表された主要な研究についてまとめています。
■リリーの週1回インスリンエフシトラα vs デグルデク
QWINT-2試験
インスリン投与歴ない成人2型糖尿病928人(アジア人35%) 第3相、52週、オープンラベル
週1回エフシトラ vs デグルデク(トレシーバ)で、
A1c -1.26 vs -1.17%
TIR 64.3% vs 61.2%
重篤な低血糖発生率 0.58 vs 0.45件/人年 と非劣性
インスリン単位数も同等 リリーの週1回インスリン「エフシトラα」初の第3相試験の論文です。
今のところ効能的にはノボのイコデク(アウィクリ)と同等そうですね。
N Engl J Med. 2024 Sep 10. doi: 10.1056/NEJMoa2403953.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39254740/
■リリーの週1回インスリン vs デグルデク in1型
QWINT-5試験 成人1型糖尿病 692人(アジア人20 %)
第3相、52週、オープンラベル
週1回エフシトラ vs デグルデク(トレシーバ)で、
A1c -0.51 vs -0.56% と非劣性
レベル2~3低血糖は 14 vs 11/人年とエフシトラで多い
リリーのエフシトラα、1型DMを対象とした第3相試験の最初の論文。
1型DMでは低血糖多いのは、ノボのイコデク(アウィクリ)ONWARD-6試験(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37863084/)と同じ結果ですね。
やはり1型では基礎インスリンの調整ができないのがネックなのでしょうか。
Lancet 2024; Once-weekly insulin efsitora alfa versus once-daily insulin degludec in adults with type 1 diabetes (QWINT-5): a phase 3 randomised non-inferiority trial
https://thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(24)01804-X/abstract
■12歳未満でのリラグルチドの効果・安全性
SCALE Kids試験
6-11歳、肥満(平均BMI 31)82人
リラグルチド3.0mg vs プラセボで 52週後
BMI -5.8% vs +1.6%
体重 +1.6% vs +10.0%
消化器系有害事象 80 vs 54%
N Engl J Med. 2024 Sep 10. doi: 10.1056/NEJMoa2407379.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39258838/
■ セマグルチドの心血管抑制はCKDステージによらない
FLOW試験 2型DM+CKD患者 3533人3.4年
セマグルチド1mg週1回 vs プラセボ
KDIGOリスクで 低/中等度 242例(6.9%) 高リスク 878例(24.9%) 超高リスク 2412例(68.3%)
セマグルチドの心血管イベント抑制効果は、
eGFRカテゴリー、KDIGOリスククラス間で一貫性あり
総死亡に関する解析のみ、UACR層別で、 300mg/g未満でHR 1.17[0.83-1.65] 300mg/g以上HR 0.70[0.57-0.85] と顕性アルブミンで有効と交互作用あり
Eur Heart J. 2024 Aug 30:ehae613. doi: 10.1093/eurheartj/ehae613.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39211948/
■フィネレノンが心不全患者の2型DM発症を25%抑制
FINEARTS-HF試験
事前規定解析 フィネレノン20~40★mg vs プラセボ
登録時非DM3222人において、
新規DM発症HR 0.75(0.59-0.96) SGLT2iの有無によらない
※同時論文化なし(図表なし)
■ノボの新規経口減量薬アミクレチン第1相試験
ノボの新規経口減量薬アミクレチン
・GLP-1受容体、アミリン受容両方に作用
・第1相試験で12週間で13.1%の体重減少を達成
※同時論文化なし(図表なし)
ノボは既にアミリンアナログ(カグリリンチド)とセマグルチドの配合カグリセマ臨床試験を勧めているので、GLP-1/アミリンデュアルアゴニストの注射、経口薬を同時に進めていく? 胃腸障害の程度は頻度では分かりにくいですが、今後の臨床試験が期待されます。
■セマグルチドの心血管抑制効果はeGFRによらない
SELECT試験
肥満度(BMI)27kg/m²以上(平均BMI33kg/m²)、CVD既往歴のある成人17,604人
週1回セマグルチド(2.4mg) vs プラセボ 3.5年
MACEは
eGFR≧60では 6.0% vs 7.3%;HR、0.82;95%CI、0.72 - 0.92
eGFR<60では 9.7% vs 13.5%;HR、0.69;95%CI、0.52 - 0.90)
ベースライン時のeGFRによらず有効
https://drive.google.com/file/d/11jdID0Hl7evB7bRn7ApwW3-Agf1NhTby/view
■SGLT2iが認知症リスク低下と関連
韓国国民健康保険データ
SGLT2i or DPP4iを開始した40~69歳の2型DM11万人をPSマッチ
SGLT2i vs DPP4iで
認知症発症HR 0.65(0.58〜0.73)
薬剤要する認知症 0.54(0.46〜0.63)
アルツハイマー型認知症 0.61(0.53〜0.69)
脳血管性認知症 0.48(0.33〜0.70)
コントロールとして
変形性関節症関連 0.97(0.95~0.98)
白内障手術 0.92(0.89~0.96)
残余交絡はあるのでリスク比は過大評価されていると思いますが、コントロールもあってしっかりしたデザイン。
BMJ. 2024 Aug 28;386:e079475. doi: 10.1136/bmj-2024-079475.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39197881/
■週1回インスリンイコデク+セマグルチド配合剤(イコセマ)
第3相COMBINE1-3試験、52週間データ
目標A1cを達成できない2型糖尿病患者対象
COMBINE 1: vs イコデク単剤
COMBINE 2: vs セマグルチド単剤
COMBINE 3: vs 基礎インスリン単独
と比較し、1,2で優越性、3で非劣性
※同時論文化なし(図表なし)
※ノボ プレスリリースより
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