日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」
新規CQ、GL2019からの推奨グレード変更、削除CQについてまとめています。
※自分の勉強用にまとめたものなので、ご理解の上、個人の勉強用にご参照下さい。
★★★糖尿病診療ガイドライン2024★★★
【GL2019→GL2024・CQ改訂ポイント】
■3.食事
CQ3-2(削)食事療法の実践に管理栄養士による指導は有効か? A(GL2019)→ 【新CQ3-2に包括】
(糖尿病の血糖コントロールのために、)
CQ3-2(新)エネルギー摂取量の制限を推奨すべきか?【A】
CQ3-3(新)炭水化物制限は有効か?【B】
CQ3-4(新)カーボカウントは有効か?【B】
CQ3-5(新)低GI食は有効か?【B】
CQ3-6(新)食物繊維摂取は有効か?【B】
■4.運動
CQ4-1(変)糖尿病の管理に運動療法は有効か?
1型 A / 2型 B (GL2019)
→血糖コントロール:2型で【A】、1型で【U】
→心血管リスク軽減:1型・2型問わず【A】
■6.インスリン
CQ6-8(変)2型糖尿病に対する強化インスリン療法は細小血管症の発展・進展抑制に有効?
A(GL2019)→【B】(有用である)
■7.自己管理・支援
CQ7-3(変)血糖自己測定(SMBG)は糖尿病治療に有効か?
A(GL2019)→
・1型およびインスリン使用2型で 【A】
・インスリン未使用2型で【U】(推奨判定不能)
CQ7-4(新)CGMはどのような点で糖尿病治療に有効か?
・1型で低血糖減少、血糖改善【B】
・1型合併妊娠で血糖、周産期異常減少【B】
・1型・2型問わず、SMBGより血糖コントロール改善【B】
CQ7-6(変)心理的・行動科学的アプローチは糖尿病治療に有効か?
A(GL2019)→【B】(A1c改善に寄与しうる)
■9.腎症
CQ9-1(削)尿中アルブミン測定は腎症早期診断に有用か? A(GL2019)→【削除】
CQ9-3(削)糖尿病腎症に血糖コントロールは有効か? A(GL2019)→【削除】
CQ9-4(削)糖尿病腎症に血圧コントロールは有効か? A(GL2019)→【削除】
CQ9-5(削)糖尿病腎症に脂質コントロールは有効か? B(GL2019)→【削除】
CQ9-6(削)糖尿病腎症の血圧コントロールの第一選択薬にACEi・ARB推奨されるか? A(GL2019) →CQ9-3に統一(下記)
CQ9-3(新)RAS阻害薬は腎症の発症・進展抑制に有効か?
→アルブミン尿+でRASi 【A】
→RASi治療中アルブミン尿+でフィネレノン【B】
CQ9-7(削)糖尿病腎症に食塩摂取制限は推奨されるか? B(GL2019)→【削除】
CQ9-2(新)タンパク質制限食は腎症の発症・進展抑制に有効か? 【U】 (推奨度決定不能)
CQ9-4(新)SGLT2阻害薬は腎症の発症・進展抑制に有効か?
→アルブミン尿+でSGLT2i 【A】
CQ9-5(新)GLP-1受容体刺激薬は腎症の発症・進展抑制に有効か?
→【B】(有用である)
■11.足
CQ11-2(削)足の定期観察は足病変の予防に有効か? A(GL2019)→【新CQ11-2に包括】
CQ11-3(削)フットケア教育は足病変の予防に有効か? B(GL2019)→【新CQ11-2に包括】
CQ11-5(削)ハイリスク患者へのフットケアは足潰瘍の予防や救趾に有効か? A(GL2019)→【新CQ11-2に包括】
CQ11-2(新)集学的フットケアを行うことは、足病変の発症・進展抑制と重症化予防に有用か? 【A】
CQ11-7(変)足潰瘍治療は患者の生活の質(QOL)維持に有効か? A(GL2019)→【B】(寄与しうる)
■12.大血管
CQ12-3(削)生活習慣の改善と肥満の是正は糖尿病大血管症に有効か? A(GL2019)→【削除】
CQ12-3(新)生活習慣と肥満の改善は大血管症のリスクファクターの軽減に有効か? 【A】
CQ12-5(新)SGLT2阻害薬は大血管症の抑制に有効か? 【A】(二次予防)
CQ12-6(新)SGLT2阻害薬は心不全に有効か? 【A】
CQ12-7(新)GLP-1受容体作動薬は糖尿病性大血管症の進展抑制予防に有効か? 【A】
CQ12-6(変)糖尿病大血管症に脂質コントロールは有効か?
A(GL2019)→一次・二次予防にLDL低下【A】、高TG、低HDLへのフィブラート、EPA【B】
CQ12-7(変)大血管症に抗血小板薬は有効か? A(GL2019)→ 二次予防に【A】
■13.肥満
CQ13-2(新)肥満2型糖尿病への行動療法は減量や血糖コントロールに有効か?【B】
CQ13-4(変)外科療法は高度肥満症を伴う2型糖尿病への治療に有効か?
B(GL2019)→【A】(手術前後のサポート体制あれば)
■14.高血圧
CQ15-4(削)血圧130/80mmHg未満にコントロールすることは併発症予防に有効か? B(GL2019) →【削除】
CQ14-3(新)大血管症の発症予防に血圧を130/80mmHg未満にコントロールすることが有効か? 【A】(心血管・脳卒中予防に)
CQ15-5(削)糖尿病に合併した高血圧の第1選択薬はACEi・ARBか? B(GL2019)→【削除】
CQ14-4(新)ACE阻害薬・ARBはアルブミン尿のない糖尿病に合併した高血圧での第一選択薬か? 【U】(推奨度決定不能)
■15.脂質
CQ16-7(削)糖尿病患者の脂質異常症に対するスタチン以外の薬剤はCVD抑制、生命予後改善に有効か? B(GL2019) →【削除】
CQ15-4(変)食事療法は糖尿病患者の脂質異常症に有効か?
A(2019)→
・食事療法は【A】
・一価・多価不飽和脂肪酸と食物線維摂取/エネルギー制限【A】
CQ15-7(新)糖尿病患者において、スタチン以外のコレステロール低下薬(エゼチミブ、PCSK9阻害薬、レジンプロブコール)による治療は、心血管疾患の発症率や生命予後の改善に有効か?
→スタチンに加えてエゼチミブ【B】、スタチンに加えてPCSK9阻害薬【B】
CQ15-8(新)高TG血症または低HDL-C血症を合併する糖尿病患者において、フィブラート系薬、SPPARMα、ニコチン酸誘導体、n-3系多価不飽和脂肪酸による治療は心血管疾患の発症率や生命予後の改善に有効か?
→フィブラート、EPA製剤 【B】
■16.歯周病
CQ13-3(削)糖尿病治療は歯周病改善に有効か? B(GL2019)→【削除】
■17.妊婦
CQ17-10(新)妊娠糖尿病既往女性の産後の糖代謝異常の評価はどのように行うか?
→産後6-12週後に75gOGTTで糖尿病でなくてもその後定期的な評価 【A】
産後の糖代謝異常発見には75gOGTT 【A】
CQ17-11(新)妊娠糖尿病既往女性において、2型糖尿病発症予防はどのように行うか?
→生活習慣介入、メトホルミン、母乳哺育【B】
■18.小児
CQ18-4(新)小児・思春期1型糖尿病での持続皮下インスリン注入療法は、インスリン頻回注射法に比べて血糖コントロールにより有効か?
→CSIIのみ【B】、SAP【A】
CQ18-6(新)血糖降下薬(インスリンを除く)は小児・思春期2型糖尿病の血糖コントロールに有効か?
→ メトホルミン 【A】
■19.高齢者
CQ19-3(新)高齢糖尿病患者の血糖コントロールは血管合併症の発症・進展抑制に有効か? →【B】
CQ19-6(新)高齢糖尿病患者において運動療法は血糖コントロール,ADL,認知機能の維持に有効か? →【A】
□トピックス5(新):医療IT
・PHRによる糖尿病患者へのHbA1c改善効果が示されており、海外ではDTxとして利用されている中、今後国内でも導入が進むと考えられる。
・AIによる糖尿病や合併症のリスク予想モデルから治療薬の選択アルゴリズムの作成が進められており、今後わが国でのエビデンスに基づく社会実装が待たれる。"
□トピックス6(新):アドボカシー
・スティグマを放置すると、適切な治療の機会を失うことで糖尿病の重症化につながる。就職や就学、結婚の機会に加え、生命保険や住宅ローンの審査など社会生活を送るうえでも不利な立場におかれる。
□トピックス7(新):周術期管理
・入院患者の周術期血糖管理は、欧米学会等からコンセンサス,リコメンデーションが示されている。
・糖尿病専門家チームによる血糖管理は、良好な血糖管理と入院期間短縮などの臨床アウトカムを改善する可能性が示されている。
・ほとんどの入院患者では、血糖値140~180mg/dL目標が勧められる。厳格な血糖管理目標(血糖110~140mg/dLあるいは100~180mg/dL)は、低血糖(70mg/dL未満)を回避できる場合には適切である可能性がある。
・多くの場合、重症患者では持続静脈内インスリン投、,非重症患者では強化インスリン療法が望ましい。
・速効型あるいは超速効型インスリンによるスライディングスケール法の長期間の使用は望ましくない。
【糖尿病GL2019_2024比較(全CQ)修正版20240524】
【糖尿病GL2019_2024比較(CQ変更点のみ)速報版20240517_縦長】
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